甲斐 知惠子
東京大学名誉教授

1978年東京大学農学部獣医学科卒業、1983年東京大学大学院博士課程修了。獣医師 農学博士。1999年より東京大学医科学研究所実験動物研究施設教授。同研究所内では、実験動物研究施設長、奄美病害動物研究施設長、ヒト疾患研究センター長、副所長を歴任。感染症国際研究センター教授も併任。大学以外では、日本学術会議正会員。国立大学法人動物実験協議会会長、文部科学省科学技術・学術審議会委員、同科学研究費部会副部会長、同補助金審査部会部会長、厚生労働省中央薬事審議会委員等を歴任。医科学研究所を定年退職後、現在は東京大学生産技術研究所特任教授。1990年にウイルスの研究を開始。マレーシアやバングラディッシュなどアジアで小規模な流行を繰り返しているニパウイルス感染症に取り組み、2005年には世界で初めてニパウイルスの人工合成に成功。種を超えて被害を拡大させる新興感染症のメカニズムの解明やニパウイルスを完全に防御できるワクチンの開発に取り組んでいる。特にアジア地域に出現した致死性ニパウイルスに対しては、世界で初めての同技術の開発に成功し、基礎的研究に進展をもたらすとともに、組換え麻疹ウイルスベクターを用いた2価ワクチンの開発にも成功。現在もCoalition for Epidemic Preparedness Innovations(CEPI)による支援を受け、国際共同研究による実用化研究を推進。この国際共同研究は、甲斐教授らが開発した抗ニパウイルスワクチン実用化開発研究に対して、CEPIが総額3100万ドル(約34.4億円)の支援を行うことを決定したもので、これはCEPIに採択された日本初のプロジェクトである。腫瘍溶解性組換え麻疹ウイルスを開発し、実用化研究も推進。

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